東京23区の主要な独立支援サービスと補助金まとめ【起業家向け】

カテゴリー: 起業・独立ノウハウ

公開日:2026.10.08 / 更新日:2026.10.19

東京都内で独立・開業を考えたとき、使える支援制度は国・東京都・区の3層に分かれています。ただ、制度の数が多く、どこから調べればいいのかがわかりにくいのが実情です。この記事では、制度を探すための公的機関のサイトと、対象者別に見た区の制度の例を整理しました。

この記事の要約
東京都内で独立・開業する方が使える支援制度を整理しました。
支援制度は「国」「東京都」「区」の3層構造になっている
制度を探すなら、まず公的機関の検索サイトを使うのが確実
区の制度は金額の大小より「誰が使えるか」で見た方がわかりやすい
金額の大きい制度ほど、対象が絞られていることが多い
申請では契約書の種類が確認されることがあるため、事務所選びの段階で確認しておきたい
制度の内容は年度ごとに変わります。この記事で紹介している個別の制度は2026年10月時点で確認した一例です。申請を検討される際は、必ず各自治体の公式サイトで最新の要件をご確認ください。

支援制度は3層構造になっている

東京で独立・開業する場合、使える可能性のある支援制度は大きく3つの層に分かれます。

国の制度
全国共通で、金額も大きいものがあります。小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金などが代表的です。
東京都の制度
都内であればどの区でも対象になります。創業助成事業(上限400万円・補助率2/3)が中心で、東京都中小企業振興公社が窓口です。
区の制度
その区に事業所がある事業者に限られます。金額は数十万円から数百万円と幅がありますが、国や都の制度と併用できる場合もあります。

多くの方が区の制度から調べ始めますが、金額で見れば国や都の制度の方が大きいこともあります。まずは3層すべてを視野に入れておくと選択肢が広がります。

制度を調べるなら、まず公的機関のサイトから

補助金や支援制度の情報は、民間のまとめサイトにも多く掲載されています。ただ、要件や募集状況が変わりやすい分野なので、最初に当たるべきは公的機関のサイトです。

以下の5つを押さえておけば、国・都・区のどの階層の制度でも調べられます。

jGrants(Jグランツ)のトップページ

デジタル庁
国や自治体の補助金を検索できる政府公式サイトです。補助金の電子申請もここから行います。東京都の創業助成事業もJグランツでの申請となっています。利用には事業者向け認証アカウント(GビズID)が必要です。

ミラサポplusのトップページ

中小企業庁
国・都道府県・市区町村の支援情報を横断して検索できます。地域と分野で絞り込めるため、自分が使える制度を探すのに向いています。

J-Net21のトップページ

中小企業基盤整備機構
支援情報の検索のほか、創業の基礎知識や事例も掲載されています。制度を探すだけでなく、創業全般を学ぶ用途にも使えます。

東京都創業NETのトップページ

東京都産業労働局
都内の創業支援情報がまとまっています。区市町村別のページ、インキュベーション施設の一覧、融資・助成制度の案内があります。

TOKYO創業ステーションのトップページ

東京都・東京都中小企業振興公社
東京都の創業支援拠点です。無料の相談(1回45分)やセミナーを実施しており、創業助成事業に関する案内も受けられます。

区ごとの支援内容を調べる

東京都創業NETには、区市町村ごとの創業支援事業をまとめたページがあります。各区のセミナー、相談窓口、融資制度、助成制度を一覧でき、そこから各区の公式ページに進めます。

東京都創業NET 東京都内区市町村による創業・起業支援事業

自分が創業を予定している区が決まっている場合は、ここから確認するのが早いです。

区の制度は「誰が使えるか」で分かれる

区の補助金を調べていると、金額の大きさに目が行きます。ただ、金額が大きい制度ほど対象が絞られているのが実情です。

たとえば上限250万円という制度でも、商店街で店舗を開業する方に限られていれば、事務所利用では対象外になります。

以下では、対象者のタイプ別に制度の例を紹介します。

以下の制度情報について
ここで紹介する制度は、2026年10月時点で各自治体の公式サイトで確認した内容です。制度の有無、金額、要件、募集期間は年度ごとに変わります。最新の情報は各自治体の公式サイトでご確認ください。

① 事務所の費用に使える制度

事務所を借りて事業を始める場合、その費用を補助してくれる制度です。

一例
事務所の賃料を対象にした制度
港区|創業・スタートアップ支援事業補助金
区内で創業し、申請時点で創業2年未満の中小企業者が対象。賃借料、設備費、広報費、ホームページ作成費が対象経費で、補助率は対象経費(税抜)の3分の2。全体の上限は250万円だが、初年度の補助額は全経費あわせて最大160万円。
賃借料は契約形態によって上限が分かれており、店舗・事務所の賃料は最大120万円(月10万円を上限に初年度3か月・翌年度9か月)、コワーキングスペース等の利用料は最大18万6,000円(月15,600円を上限に同様)。その他の経費の上限は設備費60万円、広報費40万円、ホームページ作成費30万円。

荒川区|事務所等賃料補助金
区内で新たに創業を計画する方が対象。法人設立・個人事業の開業どちらも対象で、月額上限は1年目5万円、2年目3万円。交付決定から最長2年間。
創業後の企業規模が中小企業であること、フランチャイズチェーンの加盟店等でないこと、国から同じ賃料補助を受けないこと、区内産業や地域の活性化に寄与する事業であることなどが要件。
区報等での公募制で、年2回の募集。書類審査と面接審査を経て決定され、募集回によって対象となる創業時期が異なる。

江東区|創業支援事務所等賃料補助金
月額賃料の4分の1以内を補助。月額上限は1〜12か月目が5万円、13〜24か月目が3万円で、最大24か月間。補助件数は18件で、申請が超えた場合は抽選。
中小企業者が対象。区内に本店および事務所等があること、区の経営相談員(中小企業診断士)による経営状況の診断・指導を受けていることが条件。
対象となる創業時期は年度ごとに設定されており、令和8年度は「令和8年1月1日〜12月31日に初めて創業または創業予定であること」「令和9年3月31日までに賃貸借契約または転貸借契約を締結し、契約期間が開始していること」の2要件。
対象となるのは申請者自らが締結した賃貸借契約または転貸借契約に基づく物件で、1年未満の期間で賃貸されるものや5年未満の定期借家契約は対象外。また「利用権契約によるバーチャルオフィス、シェアオフィス、コワーキングスペースなど」も対象外とされている。

板橋区|ベンチャー企業・起業家支援賃料補助金
事務所・工場等の賃借料の2分の1以内を補助。対象者の区分によって条件が分かれ、新技術や高度な知識による創造的・革新的な製品・サービスを供給する創業15年以内の事業者は月額上限20万円・最長36か月。産業競争力強化法に基づく認定を受けた創業5年以内の事業者などは月額上限10万円・最長24か月。
法人は本店登記と活動実態が区内にあること、代表者が対象物件での事業に専ら従事できること、営業日に1名以上の職員が常駐することなどが要件。消費税、共益費、保証金、敷金、礼金、更新料は対象外。
対象物件は事業用として賃貸借契約をしているものに限られ、住居兼用、シェアオフィス、バーチャルオフィス、倉庫、駐車場等は対象外。

事務所費用の補助は契約形態によって扱いが分かれます。港区は契約形態ごとに上限額を分けており、江東区と板橋区は利用権契約によるシェアオフィスやコワーキングスペースを対象外としています。また、荒川区のように契約形態についての記載がない区もあります。

いずれの場合も審査では契約書の種類と記載内容の確認が必要となりますので、事務所を決める前に「どの形態の契約書が発行されるのか?」を確認し、そのうえで区の窓口に対象になるかを相談しておくのが確実です。

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② 創業初期の経費に使える制度

事務所費用そのものではなく、創業後の事業活動にかかる経費を補助する制度です。

一例
豊島区|開業支援コース
区内で創業後3か月以上5年未満の中小企業者(個人事業主を含む)が対象。上限20万円、補助率は対象経費(税抜)の3分の2以内。法人は区内に本店登記地と主たる事業所があることが要件で、医療法人・NPO法人・社会福祉法人などは対象外。
対象経費は、事業PR経費(看板、チラシ、広告、ホームページ制作など)、デジタル環境整備経費(パソコン・タブレット)、専門家活用経費(相談料、申請代行料など)。
特定創業支援等事業の証明書を区から取得すること、としまビジネスサポートセンターの「補助金相談」でコーディネーターの助言を受けることが、いずれも交付申請前に必要。

③ 店舗を開く人が使える制度

実店舗を構える場合に使える制度です。商店街での開業や空き店舗の活用を条件とするものが多く、金額は事務所向けの制度より大きい傾向があります。

一例
渋谷区|店舗開業支援補助金(渋谷Local Street Project)
区内で新たに店舗を開業する個人・事業者が対象。対象経費の5分の4、上限250万円。
対象経費は工事費(内装・外装・給排水・電気など)、工事を伴う設備費、開業時の広告費。交付決定後に契約・実施し、開業期日までに支払を完了したものに限られる。
対象は、申請時点で事業を営んでいない個人・事業者、および開業後10年未満の個人・事業者。区が定める対象業種であること、商店街エリアに出店する場合は商店街への加入、区の電子決済「ハチペイ」の導入が条件。既存店舗のリニューアルオープンは対象外。
一例
台東区|商店街空き店舗活用支援(事業者支援)事業
区内の近隣型商店街の区域内にある空き店舗で開業する中小企業者またはNPO法人が対象。補助は2種類ある。
賃借料補助金は家賃(敷金・礼金等を除く)の2分の1、月額5万円まで、3年間が対象期間。改修費等補助金は工事費用の2分の1、最大200万円。助成件数は各補助金5件。
空き店舗となって概ね3か月以上経過していること、所有者または管理者が3親等内の親族でないこと、出店後に商店街等へ加入することが条件。

どちらも店舗での開業が前提です。商店街の区域内であることや商店街組織への加入が条件になることが多く、事務所利用では対象になりません。また、どちらも助成件数が限られており、年度ごとに金額や要件、募集期間が変わります。申請を検討される場合は各区の公式サイトで最新の内容をご確認ください。

④ 業種や成長性で対象が絞られる制度

対象が特定のタイプの事業者に限定されている制度もあります。金額だけを見て申請しても、要件で外れることがあります。

一例
文京区|スタートアップ支援事業補助金
事務所等の月額賃借料の2分の1(上限月5万円)を12か月を限度に補助。最大60万円。あわせて、中小企業診断士による無料経営相談を3年間(計10回以内)利用できる。
対象は区内に営業の本拠がある中小企業者で、申請日において創業5年以内、または大学の創業支援施設から区内に移転して1年以内であること。加えて、革新的な技術や新たなビジネスモデルで急成長を目指す事業であることも要件。
本拠に営業実態がないバーチャルオフィス等は対象外。本人・自社・配偶者などが所有する物件も対象外。

⑤ 補助金がない区でも融資は手厚い

区独自の創業補助金が見当たらない区もあります。ただし融資面では支援があることが多いです。

区によっては、利子を補助する制度や信用保証料を補助する制度が用意されています。制度によっては、利息の負担が大幅に軽減される設計になっているものもあります。ただし、特定創業支援等事業の受講など、区ごとに条件が設けられている場合があります。

補助金は返済不要ですが、融資は返済が必要です。性質が違うので単純比較はできません。ただ「補助金がない区は支援が薄い」とは限らない、という点は知っておく価値があります。限度額や利率、負担割合は区ごとに異なるため、各区の公式サイトでご確認ください。

23区それぞれで実施されている「特定創業支援等事業」

ここは見落とされがちですが、金額的なインパクトが大きい制度です。

23区それぞれで実施されており、区や指定機関が行うセミナーや相談を受けると「特定創業支援等事業による支援を受けた証明書」が交付されます。プログラムの内容や証明書の交付条件は区によって異なります。この証明書があると、次の優遇が受けられます。

会社設立時の登録免許税が半額(株式会社は資本金の0.7%→0.35%、最低15万円→7.5万円)
国の小規模事業者持続化補助金〈創業型〉(上限200万円)の申請要件のひとつになる(一般型の通常枠は上限50万円)
創業関連保証が、事業開始の6か月前から利用可能に
日本政策金融公庫の新規開業資金で貸付利率の引き下げ

なお、各優遇にはそれぞれ対象者や利用条件があり、証明書があればすべて自動的に適用されるわけではありません。たとえば持続化補助金の創業型は、証明書のほかに創業の時期についての要件があります。利用を前提に動く場合は、各制度の要件を個別に確認してください。

登録免許税の軽減だけでも7万5,000円の差が出ます。法人設立を予定している方は、設立前に確認しておく価値があります。

セミナーの日程や申込方法は区によって異なります。オンライン受講に対応している区もあります。詳細は各区の公式サイトでご確認ください。

申請前に知っておきたい4つの注意点

交付決定前の支出は対象外になることが多い
多くの補助金では、交付決定を受けてから発生した経費のみが対象です。先に支払ってから申請しても認められません。相談・申請・交付決定・支出という順序を守る必要があります。
事前相談や講習の受講が必須の制度がある
区の制度では、商工相談や特定創業支援プログラムの受講が条件になっていることがあります。これらには日程があり、相談は数回にわたることもあります。申請締切の直前に動いても間に合いません。
予算に達し次第終了する制度が多い
募集期間内であっても、予算上限に達すれば締め切られます。先着順と案内されている制度もあるため、年度前半に動く方が確実です。
契約書の種類が確認されることがある
補助金や許認可の申請では、事務所の契約書の種類が確認されることがあります。レンタルオフィスやシェアオフィスの契約書は「一時使用賃貸借契約書」「施設利用契約書」など、運営会社によって名称が異なります。
制度側が特定の契約形態を求める場合、別途書類の発行を依頼することになり、有料となるケースもあります。また転貸借の場合に建物所有者の承諾書が必要になることがありますが、所有者への確認が必要なため、発行までに時間がかかります。物件によっては発行できないこともあります。

事務所を検討する段階で、どの書類が発行できるか、費用と所要日数はどの程度かを運営会社に確認しておくと、申請準備を進めやすくなります。

民間の補助金情報サイトについて

補助金・助成金の情報をまとめた民間サイトもあります。自治体別・目的別に検索できるため、制度を探す入口としては便利です。

ただし、これらのサイトは申請代行や専門家紹介のサービスを提供していることが多く、問い合わせをすると営業の連絡が来る場合があります。また、情報の更新タイミングによっては、募集が終了した制度が掲載されていることもあります。

制度の要件や募集状況については、必ず自治体の公式サイトで最終確認をしてください。

区の支援制度は、事業所の所在地が条件になることが多い

区の支援制度は、その区に本店登記または主たる事業所があることが要件になっているものが多くあります。

これから創業する方であれば、どの区で事業を始めるかを選べる立場にあります。使いたい制度がある区に事務所を構えるという考え方もできます。

ただし、制度の有無だけで場所を決めるのは危険です。補助金は一度きりの支援であるのに対し、事務所の賃料は毎月発生します。交通の便や事業への適合性も含めて判断してください。

まとめ

東京23区の支援制度は、区によって内容が大きく異なります。金額の大きさだけでなく、自分が対象になるかを先に確認することが大切です。

制度を探すときは、まずjGrantsやミラサポplus、東京都創業NETといった公的機関のサイトから当たるのが確実です。民間のまとめサイトは入口としては便利ですが、最終確認は自治体の公式サイトで行ってください。

また、申請には事前相談や講習の受講、契約書類の準備といった手続きが伴います。開業予定日から逆算して、早めに動いておくと選択肢が広がります。

この記事で紹介した個別の制度は、2026年10月時点で確認した一例です。制度の要件や募集状況は変わりますので、申請を検討される際は各自治体の公式サイトおよび窓口で最新情報をご確認ください。

公開日:2026.10.08 / 更新日:2026.10.19